囲碁の勉強において、棋譜並べは対局、詰碁、棋書を読むという勉強に並び、とても重要です。
しかし、慣れないうちは、数字を追うのが大変でなかなか思うように進まず、難しさを感じる方も多いでしょう。
棋譜並べに特に決まったやり方はありませんが、長続きするコツをつかむためのヒントになることを書きました。
最初は時間がかかって当たり前
まず、そもそも対局数があまりこなされていない時期は、棋譜並べをしても時間がかかってしまうのは当たり前です。
なぜなら、基本的な石運び、石の形、定石、布石の考え方などの知識面でのストックがそんなに多くないからです。
一手一手のつながりが見えず、一見ばらばらに打たれているように見えるため、棋譜の数字を追うのが精一杯となり、時間がかかってしまうのです。
これが慣れてくると、一手一手のつながりが少しずつ見えてきて、一手打つごとに相手番の応手、そしてその次の手が大体どの方向にいくか、ある程度予測できるようになります。
もちろん、プロの考えることが完全に理解できるわけではありませんから、次の手をぴったり当てられるというわけではありません。まったく想像とは異なる所に打たれることもたくさんあります。しかし、予想した手が次第にいい所にいくことが増えていくものです。
ですから、それまでは辛抱して地道に並べるしかありません。
1局を頭に入れて最低3回は並べる
しかし、さすがにプロの棋譜を1回ずつ並べてすぐ次の棋譜、とやっていくのは手の作業だけになってしまいがちです。
そこで、一局並べると決めたら、それを覚えてしまうくらい繰り返し並べてみることにしましょう。
最低3回。いや5回、10回でもいいですよ。
最初は覚えるためにじっくり並べる。2回目はなるべく記憶を頼りに並べて棋譜と1手1手照合させながら打つ。3回目は棋譜を見ないで並べる。といった具合でしょうか。
終局まで覚えるのはとても無理、という方は50手限定でもよいですよ。
重要なのは、頭の中にいれ、棋譜を見ないで碁盤上にスラスラと並べるということを体で覚えることです。
棋譜の数を追うより、1局最低3回は並べて、頭にいれてから並べる作業に注力した方が、得るものが多いと思います。
手が石の方向を覚えるようになったらしめたものです。
しっかり解説されている名局集を並べる
解説がしっかり書かれた名局集を、解説をじっくり読みながら並べるのもよいと思います。
本サイトの「棋譜並べのススメ」 も参考にしてみてください。
また、次の名局集もおすすめします。
ただし、解説をじっくり読みながら進めている間は、石を打つ動作が途切れ途切れになります。棋譜並べは石の流れをつかむことが1つの目的ですので、この場合でも棋譜を頭に入れて、最後には棋譜を見ずに並べられるようにしておきましょう。
囲碁年鑑の棋譜を片っ端から並べる
囲碁年鑑についても「「棋譜並べのススメ」」で紹介しています。
これは毎年発行されていて、1年分の国内プロ機戦、国際棋戦、トップアマの棋戦の棋譜が集められています。
これを片っ端から並べてみるのもよいトレーニングとなるでしょう。
お気に入りの棋士をピックアップしてもよし、7大タイトル戦に絞って繰り返し並べるのもよしです。
布石、定石には、その時々の流行形があります。囲碁年鑑でその年の分の棋譜をたくさん並べてみると、その流行形について頭に入ってくるということもあります。
全部はとても並べきれない、充実の1冊です。興味を持たれたらぜひ書店で確認してみてください。
個人の打碁全集を並べる
棋譜並べは、やりだすといずれは個人の打碁全集に行き着きます。
どの棋士のものがよいかは個人で選ぶしかありませんが、棋譜並べが面白くなってきたら是非取り組んでみてください。
古碁もいいですよ、道策、秀策、秀栄、秀甫。古書でしか手に入らないと思いますが、古書店を探してみてください。
「呉清源打碁全集」をあげる人も多いです。プロ棋士の方々も修行時代にたくさん並べられたでしょう。まだすべて並べきれていませんが、私も持っています。
打碁全集に取り組むと、その棋士の一生の間に打たれた碁の変化がアマチュアなりにも見えてきて興味深いです。勝つ碁、負ける碁、気合の一手が放たれた碁、名手、妙手、敗着、ポカ。解説とともに味わってみましょう。
個人の打碁全集は、トレーニングのためだというふうに力まず、棋譜を鑑賞する気持ちで取り組むのも大事かと思います。一局に一手でもいい、自分の感性に合う手、素晴らしいと感じる手を見つけてみましょう。
このころになると、棋譜並べの苦痛さからは開放され、並べることが楽しくなってくると思います。
最後は「コツ」の話から脱線してしまいましたが、参考にしてください。
まとめ
- 慣れないうちは時間がかかって当たり前。最低3回は並べて頭に入れて並べてみる。
- 石の流れ、石の方向、石の形をつかめるように意識する。
- 慣れてきたら、囲碁年間や個人の打碁全集に取り組んでみる。