この記事では、影山利郎著、素人(アマ)と玄人(プロ)―徹底分析、これだけ違う両者の視点 (日本棋院アーカイブ)の一章にある「本手とうそ手」について考えてみます
「最近勝てなくなってきた」と感じた時こそ上達のチャンスかもしれません。
対局に慣れてきたときにぶつかる壁
囲碁のルールを覚え、対局をたくさんこなしていると、最初のころはある程度棋力が上がり、上達していくものですが、必ずどこかで壁にぶつかります。
「最近、勝てなくなってきた。。」
どれくらいの棋力で壁にぶつかるかは人によって違うと思いますが、誰でもこういった経験をお持ちだと思います。
原因はいくつかあると思いますが、アマチュアでよく陥るポイントの1つは、この「本手とうそ手」に関係しています。
本手を学ぶ重要性
では、「本手とうそ手」について考えてみましょう。
まず、本手とは何でしょうか?日本棋院から出版されている新・早わかり 用語小事典―読んで調べる囲碁知識によると、
本手:正着のこと。一見ぬるいように見えても、その場合最も適した手である。
です。
最も適した手がどんな手かはもちろん局面によりますし、どんな手が本手なのか正確に見抜くことは相当な棋力が必要になってきますので、この定義を知っただけで問題が解決できるわけではありません。
ただ、これだけはいえると私が思っているのは、「最近、勝てなくなってきた。」と感じるとき、この「本手」ではない手、つまりうそ手を打つことが多くなっているということです。
原因はあります。対局に慣れてきて、棋書も読んで勉強が進んでいくと、少しでも働こうという手、効率を高める手を考えて打とうとしていくことになります。
それはある意味当たり前です。そのために勉強しているのですから。
でも、アマチュアにとっては、これがいつもいい手になっているとは限らないのです。
そして、その手がはずれていると、「背伸びしすぎた手」、「打ち過ぎた手」、「薄い手」になってしまうのです。
その結果、スキが生まれ、相手にそのスキを突かれることになり、形勢が一気に悪くなって負けてしまうのです。
これはある意味、通るべくして通る道といってよいでしょう。
どんな手が本手なのか、その例は先ほど引用した本素人(アマ)と玄人(プロ)―徹底分析、これだけ違う両者の視点 (日本棋院アーカイブ)の本手とうそ手についての章を読んでみてください。棋力によって感じ方が違うかもしれませんが、感覚的にはつかめると思います。
一見すると足が遅く、効率の悪い手と錯覚してしまいがちになるような手。でも、実はその局面では最善手なのです。
プロの指導碁で指摘してもらおう
アマチュアなら誰しも陥ってしまうこの”罠”。自分ではなかなか気づくことはできません。ではどうすればよいのでしょうか?
一番よい方法は、プロの指導碁を受けることです。
一局でもよいのでプロに指導碁を打ってもらい、「腰の伸びた手」、「打ち過ぎた手」、「薄い手」がどのあたりの手かを指摘してもらうのです。
そして、その局面における「本手」が何か?これについて教えてもらうのです。
スポンサーリンクこのように、目的意識をしっかり持った上で指導碁を受け、局碁にこの疑問について聞いてみるとよいです。
あまりたくさん聞くと発散してしまいますが、聞きたいことを十分に頭のなかで整理して、聞いてみてください。
プロのよい先生ならば、きっと答えていただけると思います。
いうまでもありませんが、指導碁は受けっぱなしではいけません。棋譜をしっかり残し、自宅に戻ったら、教えてもらったことを手と頭で覚えるまで何度も繰り返し並べ直しましょう。
最低3回、あるいは5回、10回でもいいですよ。
私もこれはしっかりやってきたつもりです。何段になっても「腰の伸びた手」、「打ち過ぎた手」、「薄い手」などよくやってしまいます。プロの指導碁を受けるときちんとそこを指摘してくれますし、なるほどと納得します。
これを地道にやっていると、きっとその壁を突破できると思いますし、また上達していくと思いますよ。
まとめ
- 最近、勝てなくなってきたと思ったら、対局を振り返り、本手について考えてみる。
- 本手は一見して足が遅い手と錯覚しがちだが、その局面での最善手である。
- プロの指導碁を受け、本手がどのような手か指摘してもらおう。