コウは、自然に発生するようなものではなく、本来は対局者が意図をもって仕掛けることによって作られるものです。
活用できるレベルになるまでにはなかなか時間がかかるもので、難しいことではありますが、囲碁をはじめてまもないころは、コウは戦略的に考えて仕掛けていくものだと考えておいてよいと思います。
攻めに使うコウを覚えて局面を有利に戦えるようになれば、棋力がぐっと上がってきます。
この記事では、コウを積極的に攻めに使用するときにでてくる形をいくつか見ていきます。
天下コウ
天下コウは、盤上のどこにもそのコウに匹敵するコウ材が存在しないような大きなコウのことです。
コウ材が見合わないので、相手がコウダテをしても、そのコウダテの相手をせず、コウを解消してしまします。
つまり、コウの形はしていても、実際にはコウ争いは続かず、すぐに解消されるコウです。
天下利かずのコウともよばれます。
図1
図1をみてください。説明のために作った図です。黒番です。
右下に巨大なコウがあります。この局面では、黒Aとコウをとる手が天下コウといってよいでしょう。
このあと、黒番が次に回ってきた時に黒Bと抜いてコウを解消したとき、40目の地ができます。取った白石も地の数に加算するのでしたね。
一手アタリの平均値の話はともかく、40目という地ができるコウに匹敵するコウ材はこの盤面には見当たりません。ですので、これが天下コウとなります。
スポンサーリンク図2
もう少し実戦に近い例を考えてみましょう。図2です。
図2の右下、コウの形になっています。この序盤でこのようなコウの形をしかけることはほとんどありませんが、例としてあげました。
黒がAと抜けば天下コウです。なぜなら、このコウに匹敵するコウ材が、やはりこの局面では見当たらないからです。
図3
黒1とコウをとり、白2とコウダテしても、構わず黒3とツイでコウを解消します。
「初コウにコウなし」などといわれますが、この段階で右下のコウに匹敵するコウ材はなく、従って天下コウというわけです。
花見コウ
花見コウとは、自分の方はコウに負けても大したことはないが、相手がそのコウに負けると大きな損をする、そんな形のコウです。
図4
図4は花見コウの例です。黒はAととれば、黒の花見コウです。
というのは、万一黒がコウに負けて、白がAとツグことによって解消しても、黒のどこかの石が死に石になる心配はなく、大したことがないからです。
反対に、黒がAとコウを取ったあと、黒がAの一路右にツイでコウを解消したとき、白石は1眼となって、この白のひとまとまりが死に石になってしまいますね。これは白がとても大きな損をすることになります。
詰碁における「攻めるコウ」
花見コウのところで死活の話がでてきましたが、詰碁の問題においても、この「攻めるコウ」がでてくることがあります。
それは、例えば黒番で、白石を無条件死にできない場合でも、コウにする手があるような場合です。
図5
図5、黒番です。
この問題は、これから死活の勉強をされていくなかで、早い段階で必ず目にする問題ですし、覚えておかなければならない石の形です。
白が△とカケツいだ局面です。この手自体が誤りで、正しくはこの石の右上(2の2)に打って活きなければならないところでした。黒はチャンス!この白を攻めましょう。
図6
図6の黒1のオキから始めます。白2と眼を持っても黒3と連れ戻し、白4から6とここに1眼作っても黒7でコウです。
白はこのコウに勝てなければこの白のひとまとまりを黒に取られてしまします。
黒は無条件でこの白石をとることは出来ませんが、コウを利用して「白石を半分死に石にする」ことに成功しました。コウに勝てば白石を死に石にできすし、コウに負けても、コウ材を打つ場所に2手連打することにより、そこで得できるというわけです。
まとめ
- 天下コウは、盤上のどこにもそのコウに匹敵するコウ材が存在しないような大きなコウのこと。
- 花見コウとは、自分の方はコウに負けても大したことはないが、相手がそのコウに負けると大きな損をする形のコウのこと。
- 詰碁において、無条件死の手が見つからない場合は、コウでしとめられないかを考える。コウに負けても、別の場所で2手連打して得をすることができる。