棋苑図書から出版されている「三々打ち込み辞典」です。
三々への打ち込みは、特に入門者の方は苦手に感じることが多いでしょう。
本書はその三々への打ち込みのいろいろな型について豊富に解説されています。
攻める場合についても守る場合についても、本書で勉強しておくと棋力の向上に大変役に立つと思います。
本書の構成
本書は以下の3章の構成です。
- 第1章 三々打ち込みの基本45型
- 第2章 三々をめぐる攻防20題
- 第3章 三々打ち込み後の死活20題
まず、各章の型や問題の図が、目次の次に索引ページにとして一覧に上げられているのですが、これが大変便利です。視覚的にわかりやすく、特定の型を調べるときの辞典として使えます。
第1章は三々打ち込みの基本型について。この45型がすべて頭の中に入れて、自在に活用でいるようになったら、相当な棋力になっていると思います。
第2章は三々をめぐる攻防について、布石や中盤でよく登場する三々への打ち込みやその守り方について、20問の問題形式で構成されています。
第1章の基本形が、一局の囲碁の中でどのように活用され、その結果どういう図が期待されるかが見えてくると思います。
第3章は三々打ち込み後の死活の問題です。実戦に現れやすい死活の型が集められています。
通読しよう
本書の書名は辞典となっていますが、内容から考えて、ぜひ通読をお勧めします。
三々の打ち込みを苦手とされるのは、たいていの場合、代表的な型について知識のストックがあまりないからでしょう。
ですから、定石の勉強と同じですが、打ち込まれた時にどのような展開になるのか、それが有利なワカレか不利なワカレか互角か、手の意味を理解しながら知識として蓄えていけばよいのです。
一冊まるごと三々のテーマですから、三々について知る一冊として、まずは十分かと思います。
テーマ例
三々の基本型の解説があるのはもちろんですが、例えば次の引用例のように、配石によって三々の打ち込みへの対応の考え方が変わる例も扱われています。
(図は本書P.83より引用)
右上隅の白1の三々に対して、どう対応するかすぐにおわかりでしょうか?
右下の白3子の形、右上の黒3子の構えの形が関わってきます。
指導碁などでもよくでてきて対応に困っている、といった方は本書を確認してみてください。
三々の死活について勉強しよう
三々は隅にありますから、いきおいすぐに死活問題に発展することはよくあります。
相手に打ち込まれた三々の石は取れるのか?取れないとしたらどう活かすのがその局面の石の配置にふさわしいか?
あるいは、打ち込む側の立場として、打ち込んで活きることができるのか?打ち込むことにより最終的に得をするのか?
取り上げられているテーマ図について理解を深め、自分の対局に当てはめてみて自分で研究してみましょう。
問題図にいたる手順までは書かれていませんが、第3章の20題の問題図の型の本質をつかみ、実戦で応用できるようにしたいものです。
棋究堂のよりよいサイト運営のために参考にさせていただきます。ご協力をよろしくお願いします。