ここでは、ヨセの大きさを評価するための考え方について説明します。
ヨセについては、いろいろと難しい話があるのですが、まずはヨセというところでどのような考え方がなされるのか、その初歩的な部分について説明します。
ヨセの大きさ比べ
以下の記事では、ヨセは大きい方から順に打つのが基本であることを説明しました。
ではヨセの大きさとはそもそもどのように評価するのでしょうか?
図1
黒から打つ局面とします。例えば図1のAやBのどちから打つのよいのでしょうか?
Aは黒から打つと、その右に1目の地ができますね。
Bの二ヶ所は、黒から打っても白から打っても後手になるヨセ、つまり両後手のヨセでした。
では実際に打って並べてみましょう。
まず、黒がAの方を選んで打つ場合です。
図2
黒がAを打ちましたので、白はBのハネツギを打ちました。これで終局です。
双方の地を数えてみますと、黒は27目、白も27目ありますね。コミなしとすると、これは引き分けの図になります。
スポンサーリンク念のためですが、黒1の二路上の空点はダメですので、どちらの地にもなりません。
次に、黒がBの方を選んで打つ場合です。
図3
同じように地を数えると、黒地は27目、白地は26目ですね。これは黒のほうが1目多い図になりました。
ヨセの出入り計算
打つヨセの順番によって、勝敗が変わってしまうくらいの差がでてしまうことが、図1〜3の例でわかりました。
ではなぜこのような差がでてしまったか、どう考えてヨセの選択をすればよいかについて、初歩的なことを説明します。
図1の黒AやBのヨセの大きさを評価したいわけですが、ここでよく使われる考え方が出入り計算と絶対計算です。
このうち、絶対計算は少しややこしいですので、こでは出入り計算の説明をします。
やり方はシンプルです。注目しているところを黒から打った場合の地と白から打った場合の地との差を求め、それでヨセの手を評価するということです。
まず、Aについて、黒がAから打つと、Aの一路右に1目の地ができます。白からAと打つと、黒地が0目になりました。そして、いずれも後手になります。よって、ここは黒が打っても白が打っても後手1目のヨセです。
黒から打つと1目増えるから後手1目というのはなんとなくわかるが、白から打っても後手1目のヨセであるというのは直感に合わないかもしれません。しかし、相手に1目できるところを0目にしたわけですから、相対的に1目得していることになるのです。
さて、Bの方はどうでしょうか?これは少しややこしく、しかも大事な所です。
図4
図5
図2に△マーク、図3に□マークを1つづつつけた図をそれぞれ図4, 図5に示しました。
図4は図2と同じく、白から白2,4とハネツギを決めました。この時点で、△の1目の地に注目しましょう。
次に図5は図3と同じく、黒から黒1, 3とハネツギを決めました。図4の△の1目はどうなったでしょうか?
図5ではそれが消えていますね。白地が1目減ったということです。そして、黒地側は□の1目が増えているのがわかります。
これをまとめると、図4に比べて、図5は黒地を1目増やし、白地を1目減らしているので、差し引き黒地を2目増やしていることと同じなのです。そして後手になりますから、後手2目の手なのです。
参考までに、白から図4のように打った時、白の立場からは図5に比べ、黒地を1目減らし、白地を1目増やしているので、やはり後手2目の手になります。
さて、だんだん見えてきたのではないでしょうか?
図1のAが両後手1目、Bの部分をハネツぐ手は両後手2目でした。
図2では両後手1目と、小さい方を選択していますね。図3では反対に両後手2目の大きい方を選択しました。
このように、大きい方から先に打たないと、結果的に損することになるのです。
ここでは、出入り計算の初歩、大きい手や小さい手の評価の仕方の初歩について説明しました。実際には先手や後手の違いについて、逆寄せの場合の考え方、正確な目数の差を出す方法などについては、少し難易度の高い話が必要になってきます。入門者向けの説明ですので、これらの話題は別の機会に説明したいと思います。
まとめ
- ヨセは大きい方から順に打つ。
- 手の大きさの評価は出入り計算や絶対計算の考え方で行う。
- まずは出入り計算の考え方を身につける。