最初に覚えておくとよい布石の例をいくつかご紹介します。いずれも、プロ・アマ問わず今でもよく打たれる布石です。
布石も、時代により流行がありますし、コミの大きさによっても考え方が変わってきたりしますが、最初は難しく考えずに、基本的な形からおさえていきましょう。そして、実戦でたくさん打ってみましょう。
二連星と三連星
まずは、二連星です。
図1
黒1と黒3で 1つの辺の隅にある2つの星を占めています。この2つの星を占めた配石を二連星といいます。
これは他の布石もそうですが、必ず1手目と3手目で占める必要はなく、例えば1手目と7手目でもよいです。
また、この2つの手で布石が終わりという意味ではありません。この二連星の形から中盤までの石の並びが布石です。つまり、二連星といっても、このあとの布石の石の並び方はたくさんあります。
もちろん白番が打ってもそのように呼びます。
さて、白は星と小目を占めました。黒5では、小目の白石に一間高ガカリしています。このカカリからは、次の記事で紹介した定石が打たれているわけです。
黒11まで。黒11は一路左の三線に打つこともあります。
この次は白番です。白12は黒3の石に下辺から小ゲイマにかかったり、あるいは黒11に対してツメを打ったりする手などがあるでしょう。どの手が正解というものではありません。ただし、この碁盤全体の配石から次に優先される地点は確かにあります。これは考え方なので、プロ、アマチュア(棋力による)によって打つ手が変わってくるところなのです。
このようにして布石が進んでいきます。
次は三連星です。
図2
図2の黒5のように、図1の二連星の間にあるもう1つの星を黒が占めれば、図2の三連星と呼ばれる形になります。
スポンサーリンク白番の方は、図1と同じように星と小目を1つづつ占めた配石にしました。
黒が黒5と星に打ったので、白番からは三連星の星にカカるか、自陣の小目をシマることが多いでしょう。シマる場合は図2のようになりますし、カカる場合は三連星の辺の反対(上辺 or 下辺)から小ゲイマでカカることが多いでしょうか。
さて、黒番ですが、ここでは黒7ともうひとつ星を占めています。4つ目の星も占めたので、四連星と呼ばれることもあります。三連星ではこのように、黒模様を盛り上げていくことが多いです。
白は、黒模様が盛り上がり過ぎないように、白8と小ゲイマにカカリました。黒は9と一間に受け、次に白は10とヒラキました。白10で基本定石のところで説明したような、ケイマにスベる定石を打つと、黒に挟まれるかもしれません。図2のように白10とヒラく手も普通に打たれます。
中国流
続いて、中国流です。
図3
黒1, 3, 5の位置を占めた形が中国流です。黒5は一路左に打つこともあり、高い中国流と呼ばれています。
中国流に対しては、図3の白6と変則的なカカリを打ったり、上辺のAに小ゲイマがかりすることが多いでしょうか。図3では、黒7の一間トビで受け、白8にヒラいた形を載せました。
この後、黒9は白4の星に上辺から小ゲイマでかかったり、上辺の大場である星に向かう人もいると思います。
ミニ中国流
ミニ中国流という布石もあります。
図4
図4で、黒3, 黒5、黒7の3つの位置を占めた形がミニ中国流です。
ミニ中国流は道策流とも呼ばれています。道策とは、江戸時代の棋士、本因坊道策のことです。300年以上も前に、すでに道策に試みられていた、歴史のある布石です。
もし白がAに一間高ガカリしてこようものなら、黒Bと応じて攻めていこうというわけです。
中国流とならび、このミニ中国流も、その布石の解説だけで一冊の本になっているくらい、変化が研究されてきました。興味をもたれましたら、ぜひその布石の本を読んでみてください。
個人的には好きな布石の1つです。
その他の布石
次の記事:
にも書いたとおり、布石には特別な名前がついているものも、そうでないものも、たくさんあります。
よく出現する基本的な布石については、布石の本を普段から読み、その特徴や石運びをおさえておくとよいでしょう。
自分の好きな布石をぜひ見つけてみてください。
まとめ
- 二連星、三連星、中国流など、よくでてくる布石をまずは打ってみよう。
- 布石の本で、それぞれの布石の特徴や石運びをおさえよう。
- 自分の好きな布石を見つけよう。
布石の事典として、以下をご紹介します。